居場所



ぎゅう〜
ぬくぬく
じわ〜
きゅん
この繰り返し
 
 
 
ここはあたしの部屋。そしてあたしは速水さんの腕の中。正確に言えば膝の上。
あたしのお気に入りの真っ赤なソファに、速水さんがあたしを後ろから抱き込むようにして一緒に座 る。
二人でどこかに行ったりするのももちろん大好きだけど、実はこの時間が一番、好きかもしれない。
 

速水さんの腕の中でゆっくりと座っているこの場所が、あたしの定位置。
 

いつもこの定位置で、他愛もないお喋りをしたり、テレビやビデオを見たりする。
時には何もしないで、ゆったりとお互いの心臓の音を聞いたり。
 
トクン
トクン
トクン

 速水さんの心臓の音は、あたしの今まで聴いた音楽の中で一番の安心と、不安を呼び起こす。
あぁ、この人は生きてるんだぁって。ここにいてくれるんだって。
そして、いつかこの音楽が止まってしまったらどうしようって。

そしてそんな不安を感じたときは、必ず速水さんが敏感に感じ取ってさらに強くぎゅ〜っとしてくれる から、何も考えずにあたしは身を委ねる。
 

速水さんの暖かさは私をそこから出られなくする。
まるで冬の日のコタツみたいに。

 速水さんに同じ事を囁いたら、

「なんでコタツ・・・」

 なんて言ってたけど、庶民にとってコタツは大切よね?
身体を芯から温めて、私たちをなかなか出られなくする。一生、出たいと思わなくなっちゃう。

「一生、出なくても構わん」

この人はそんなことを言ってるけれど。
日本人にとってあったかい、家庭の温かさの象徴、みたいな気がする。
ちゃんとした家族を持ったことのないあたしにとっては、泣きそうなくらい、愛しい。

 
ねぇ、速水さん。いつまでもこんな安らぎを守っていきたいね。
実は続けることが一番、難しくて。
いつコタツ布団を誰かにはがされたり、どちらかが出て行きたくなっても不思議じゃない。
でも、そんな時は、

 

 
ぎゅう〜
ぬくぬく
じわ〜
きゅん
この繰り返しで・・・

 


<Fin>



clover様コメント

くるみんさん、サイトオープンおめでとうございます!!丁度同時期に「楽園」様に投稿した同期生 (?)として、大変嬉しく思っておりマス。
「書いていただければ・・・」とお話を頂いたときは、こんな未熟者が、と思ったのですが、図々しくも 贈らせていただきました!内容はともかくとして、愛だけは!!詰まってるはずですvvv私は本当に 皆様のようなドラマチックなお話は書けませんので、今回も日常生活の一場面となりました。またま たオチのないお話で・・・申し訳ないっす。
くるみんさんの書かれる速水さんが私はとっても大好きv(^▽^)vかっこいいんですもん♪(皆さんも きっと同じ思いなはずvvv)これからもこちらでたくさんの魅力的なキャラクターたちが紡がれていくの を楽しみにしておりマス!そしてこれからもどうぞよろしくです(^−^)/~




管理人コメント

お祝いのお言葉をありがとうございます!
cloverさんを始め素敵な同期生に恵まれて、もう幸せいっぱいですv
サイト運営頑張りまーす(^▽^)/

小説のご依頼をしたときには「最近はあまり思い浮かばなくて・・」というお話でしたのに、数日後に はこんなに素敵なストーリーを編み出して送ってくださったcloverさん。
何ヶ月でもお待ちする気持ちでいましたのに・・嬉しすぎる誤算でした(≧▽≦)

とにかく可愛いです。
擬音が、表現が、文章が、ストーリーが・・・そしてマヤちゃんが!
初々しい愛らしさがてんこもりです。
これは速水さん、手離せませんわ(笑)

「一生、出なくても構わん」

私、この言葉にのた打ち回りましたぁ。
うん、出さないでいいよ、速水さん♪♪
ずっと捕まえておいてあげてね(*^_^*)

愛いっぱいの贈り物、確かに受け取らせて頂きました。
そして読んでいる皆さんにも、お裾分けv