贈る花
あんたって子は・・!
それが母さんの口癖だった。
何をやっても不器用で心配ばかりかけていた私。
ねぇ、母さん。
そんな私でも人に褒めてもらえるようになったんだよ。
「よくやった」
そう言って笑いかけてくれる人がいるの。
母さんにも見て欲しかったなぁ。
私の演技をしている姿。
「これが私の娘よ」って、少しは胸を張って言えるでしょ。
今日はね、カーネーションを持ってきたんだ。
ありきたりで私らしい?
うん、でもね、やっぱりこれしか思いつかなかったの。
だって目に浮かぶんだもん。
このピンクの花を抱えて微笑んでいる母さんの姿が。
あっ、いっけなーーい! もうこんな時間!!
今日はこれからお芝居の稽古なんだ。
遅れたりしたら大変。
こわーーい演出家の先生に怒られちゃう。
え?お前はいつまで経っても危なっかしいって?
えへへ、気をつけます。
今度来るときにはバラの花を両手いっぱいに持ってくるからね。
大好きなあの人も母さんに会いたいって言ってるし。
それじゃまた来るからね、母さん。
<Fin>
お母さんの墓前で語りかけているマヤちゃんです。
母親にとって何よりのプレゼントは、物などではなく子供の幸せそうな姿だろうなと思います。
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