Decision〜決意〜 4




 マヤに対する想いをはっきりっと自覚した今、最早失うことなど出来ないと思い 知った。彼女だけが自分を支える全てであり、もう、彼女がいない自分など考える ことは出来ないのだ。認めてしまえばこんなにも簡単なことだったのに、と苦笑を 禁じえない。だが、今の真澄は清々しい気持ちでマヤ一人を想えることの幸福に 身を委ねていた。
 マヤの想いにも、ようやく気がつくことができた。自惚れでもなんでもなく、彼女 が自分に対して好意を持ってくれていると、積み重ねた日々の中から、今は確信 している。振り返れば、これまでに何度もマヤは自分に対して意識してか無意識 でか、意思を表してくれていたのだ。例えば突然紅色に染まる頬の色で。例えば 涙を浮かべた哀しげな瞳の瞬きで。あの雨の社務所での一夜を思い返すまでも なく、もっと様々な場面で折につけ彼女は自分に伝えてきたのではなかったか。 見ようとしなかった、気づこうとしなかったのは自分。気がつくのが怖くて、何度も “もしや”と思いながら確かめることすらできなかった臆病なあの頃の自分。そん な愚かな自分を思えば、その意気地のなさにマヤには申し訳ない気持ちさえす る。自分の優柔不断がマヤをどれほど傷つけてきたのか、想像するのも恐ろし い。だがそれでも彼女は、そんなだらしない自分を見捨てることなく、飽くことのな いひたむきで健気な愛情を示し続けてくれているのだ。そんな彼女への償いと感 謝の気持ちもあって真澄はがむしゃらに前進することができた。その結果、あの 鷹宮会長さえねじ伏せることに成功できたのだ。
 紫織との婚約もなんとか解消することができた。彼女には気の毒なことをしたと 正直思う。そもそも会社を大きくするためだけに見合いしたことも、その結果愛し ていないにも関わらず女性に冷たくすることに躊躇するあまり、そのままずるずる と成り行きで結婚しようとしたことも、全て自分一人が悪いのだ。冷たい態度が取 れなかったのは彼女を傷つけたくない自分の優しさのせいだと信じて疑わなかっ た。だが実は一番傷つけたくなかったのは自分自身であり、女を泣かせる冷酷な 男になりたくなかっただけの、情けない身勝手さが彼女とマヤの二人を悲しませ 続けてきたのだ。マヤ以外には誰も愛せない、そんな冷淡な男だとは知らずに自 分を愛してくれた彼女には何の罪も咎もない。それはわかっているのだが、自分 の気持ちにばかり固執して誰のことも思いやることなく真澄とマヤを追い詰めてい く彼女の破滅的な執着には今や恐怖すら感じてしまうのだ。そう。真澄と紫織は よく似ているのだ。互いにいつも自分の事しか考えられない。そして一旦執着した ものに対しては、それが何であれ凄まじいまでの情熱を示す。紫織は真澄の中 のもう一人の自分に惹かれ、真澄は紫織の中のもう一人の自分を嫌悪した。自 分と紫織との関係は、鏡の中に映る己の姿だけを相手にしている孤独なダンスで しかなかったのかも知れないと真澄は思う。互いに相手を愛することのできない 者同士ではいずれどちらにも必ず不幸は訪れるだろう。だから、今は紫織は泣く かもしれないが結果的には彼女のためにもよかったのだ、などととふてぶてしくも 考える真澄だった。
 そんな彼女は、鷹宮と真澄の対決以来、一切何も言ってこない。唐突に別荘に 押しかけたり、約束も取り付けずに会社にやってきていた彼女だったが、今はそ れらもなく、ひっそりとなりを潜めているのだ。一体どうやって因果を含められたの だろうか。彼女を説得したであろう鷹宮会長も沈黙を守り続け、今ではまるで最初 からあの婚約はなかったかのように周囲にも振舞っているようだった。薬が効き 過ぎたのか、それとも翁が歳を取り過ぎたのか。もっとも真澄にとってはそのどち らでも同じことだ。いずれにせよ、恐らく今後一切この話を蒸し返してくることはな いだろう。そんなことは利口な人間のすることではない。そして、いくら老いたとは 言え天皇とまで呼ばれた男だ。まだ耄碌するには早すぎる。
 
 一人蚊帳の外だった義父には、鷹宮との対決が終わり、先方から婚約破棄の 申し入れがあった時点で報告した。真澄から、鷹宮から破談の申し入れがあり、 それに勝手に応じたと聞かされ怒り狂った義父は、事情を知らないまま即刻真澄 に鷹宮邸へ赴き、膝を折り、頭を下げて破談はなかったことにして欲しいと頼み込 んで来い、と言いつけた。だが勿論真澄は取り合うつもりがない。どれだけ声を荒 げて恫喝してもどこ吹く風で、いつものように大人しく言うことを聞かない真澄に業 を煮やした義父は、遂に自身が鷹宮会長に会って話をつけてくると言い残し出か けて行った。
 翁との面会を求めた義父だったが、玄関先で対応に出た秘書に「この度は、こ ちらの我がままでとんだ事になってしまって申し訳ない。この件に関して詳しく話 す気にはなれないが、そちらには一切迷惑をかけないように配慮するのでどうか 不義理を許してもらいたい」との会長からの伝言を伝えられ、恩人にも会えずにす ごすごと帰って来てしまったらしい。体のいい門前払いを食らわされたわけだ。帰 ってきた義父は、一体どうしたわけでこんなことになってしまったのか、自分の知 らない間に何が起こったのかがまるでわからず、狐につままれたような表情で真 澄の顔をしげしげと見つめていたが、実際にはまだ何の被害も出ていないことと、 翁の言葉を信じるのなら今後も何ら被害が出ないであろうことなどがわかってい るからか、それきり何も言わなくなってしまった。全てが真澄の思ったように動い ている。まるで天が自分に味方してくれているとしか思えなかった。


 長すぎる遠回りの末、ようやくここまで辿り着いた。だが肝心の「春の死」と言う 高い壁は手もつけずに残されているままだった。このそびえ立つ高い壁をどうやっ て乗り越えて行けばいいと言うのか。これは紫織との婚約を無効にすることよりも はるかに厄介な問題だろう。真澄はその問題の難しさに途方にくれてしまった。 だが目を逸らすわけにはいくまい。肝心な部分に蓋をしたままでどれほどマヤに 愛を語ったところで、偽りの誠実さが彼女の心を動かすとは思えない。たとえ万が 一想いが通じ合ったとしても、これほどまでに大きな溝を抱えた者同士ではいず れその関係は破綻するだろう。最初から大きな穴の開いたバケツには水など溜 まるはずがないのだから。真澄は、いよいよ本腰を入れてこのもつれた糸を解く 糸口を探しに、己の思考へと沈んで行くのだった。

 始まりは、マヤのためによかれと思ってしたことだった。実力のあるアイドル女 優として売り出したばかりのマヤには、「母を捜す薄幸の少女」、「つらい境遇にも 明るさを失わない健気さ」、そして「探し求め続けた母親との再会」は全て話題づ くりにはもってこいだと思えたのだ。今考えれば、マヤにはそんな小手先の細工 など必要なかった。いくら「実力だけでは通用しない世界」だと言ってもあれだけ の才能だ。自分の庇護がありさえすれば堂々と実力だけで勝負できたのではな いだろうか。だがあの頃の自分は、たとえ演劇の天才少女であってもそんな売り 方しか知らなかった。だから当時はあの方法がベストだと信じていたのだ。とは言 え、真澄があの母親を療養所に閉じ込め世間から隠していたのは事実であり、悪 気はなかったとは言え、人から「監禁」と言われても仕方がないかもしれない。だ が、まさかあんな事態になろうとは、言い訳にしか過ぎないがまったく予想してい なかったのだ。すっかり体の弱った中年の女性が、シーツを裂いてつなぎ合わせ たものを伝って窓から逃げるなど、光も射さないその目で歩いて東京へ戻ろうとす るなど、誰が想像し得るだろうか。恐るべき執念だ。真澄にはわからなかったの だ。母親の愛情の強さ、我が子を求める止むに止まれぬその情熱の激しさを、理 解できなかったのだ。考えてみれば春とマヤは母一人子一人の親子である。健 康でさえいれば気丈に振舞うこともできただろう。だがその心の中ではどれほど 寂しく、またどれほど娘の身を案じていたことか。まして病を患い弱った時だ。心 細さから、何年も前に家を出たきりの、たった一人の娘に会いたいと思うのは当 然のことだろう。そんな当たり前のことにも気づけなかった自分の考えの浅さを、 今更ながら猛烈に反省していた。悔やんでも悔やみきれない、謝っても取り返し のつかない春の死。だがなんとしてでも乗り越えなくてはならないのだ。マヤを、 諦めたくはない。
 それに、と真澄は考えた。この問題はマヤの側にも立ちはだかっていることは 間違いないはずだ。同じ壁を挟んで、二人は対峙しているのだから。普通に考え ればマヤにとって真澄は、自分を母親から引き離し、挙句殺したも同然の男なの だ。憎まないはずがない。実際春の死の直後、マヤは散々真澄を罵ったものだっ た。涙を流し、拳を叩きつけて責めるマヤが真澄の脳裏に焼き付き、リフレインし ては苦しめ続けた。今もあの頃のことを思い出せば心が痛む。だが、いつの頃か らか、マヤの態度、口調からはあの頃の憎しみの様子は、見られなくなってきて いる。時間と共にマヤの中で感情は薄れていったのか?いや、そうではないだろ う。事情は違えど似たような時期に母の死を経験している真澄にとって、埋めるこ とのできない喪失感がそう簡単に色褪せるものではないことはよくわかっている。 悲しみを紛らわすために誰かを憎むことができればその方がはるかに楽になれる のだ。自分が義父を恨み続けたのと同じように。だが、どう考えてみてもマヤの自 分に対する態度は、好意を寄せてくれているとしか思えないのだ。と言うことはマ ヤは俺よりも一足先にこの壁を乗り越えているのではないだろうか?
 はっきりとした理由はわからない。だが真澄にはマヤが全てのことを乗り越えて 自分を慕ってくれていると思えるのだ。これが希望的観測と言うやつか、と自嘲の 思いにかられながら、それでもこの考えが間違っているとは思えない真澄だっ た。だとすれば、マヤは俺がこの壁を乗り越えるのを、もうずっと前から待ってくれ ているのかも知れない。たとえこれが己の希望から生み出された幻でもいい、こ の考えに賭けてみたいと思う真澄だった。
 ふと目にした机上のカレンダー。あと2ヶ月もすれば、また春の命日が巡って来 る。早いもので今年でもう七回忌を迎えるではないか。そう言えばマヤが母親の 法要を行ったという話は聞いたことがない。あの寺にも内密に、かなりの額の寄 付をしているのだから、何かあれば知らせてくる筈だ。知らせがないのは何もされ ていない証拠だろう。全くマヤはぼんやりしている。真澄は自分の頬がわずかに 歪められていることに気がついた。我知らず苦笑いの表情がその顔に上っていた のだった。これは一つのチャンスだろうか。マヤがどういった葛藤の末に心境が変 化かしたのかはわからないが、一足先に「春の死」という壁を乗り越え、自分がそ の場所まで辿り着くのを待ってくれているに違いないのだ。それならば、春の七 回忌こそが、全てを打ち明けるよい機会ではないのかと、真澄には思えた。

 


 カーテンのわずかな隙間から差し込む初々しい陽射しが、長いまつげに飾られ たまぶたをそっとくすぐる。まるで愛しい女の口付けを受けたように満たされた思 いで静かにまぶたを開ける真澄。その瞳に映る明るさとは裏腹に、枕元の時計は 予定していた時刻よりもかなり早く目が覚めてしまったことを知らせている。もう一 眠りできる余裕すらあるとは思ったが、じっとベッドで横になっている気分にもなれ なかった。リモコンで入れた空調の、快適な室温の中に汗ばんだ不快な寝具から 抜け出て行く。体にまとわりつく薄い殻を脱ぎ捨てて行くように一つ一つの動作の 度に軽くなって行く気が、真澄はしていた。この軽さは何を脱ぎ捨てたためなの か?あまりにも多すぎる、この身に絡みつくしがらみ。それらの幾つかは、確かに 自分の手で振りほどいてこの日を迎えたのだ。今日、マヤの母に会いに行く。紫 のバラの花を持って。
 固めた決意の潔さのままにカーテンを引き開ける。瑞々しい朝の光は軽やかな 歌声のように憂いの一片もなく顔を照らし出し、真澄は軽い身震いを感じた。武者 震いか?真澄はふと笑う。あの鷹宮との対決の日にすら感じたことのない心の昂 ぶり。それを静めるためにシャワールームへ向かう真澄は、静かに自室のドアを 閉めた。



 暑いな。クーラーの効いた車内から一歩外へ出ると焼け付くような陽射しが情け 容赦なく真澄の体に絡み付いてきた。だが、真澄はそれに構わずに、直接寺の 裏手にある墓地へと続く石の階段を上り始める。ここからならば、他の人間に見ら れることなくひっそりと春の墓まで行けるのだ。あとはこの花束を墓前に供え、ま たひっそりと戻ればいい。墓の前での読経のためにみんなと一緒に来れば、マヤ は相当に驚くだろうか?今日集まる人間は皆、大なり小なり「紫のバラの人」につ いてマヤから聞かされているだろうからちょっとした騒ぎになるかもしれない。真 澄はそれらの騒ぎに加わるつもりはなかった。法要が終わるまで冷房を効かせた 車内で待つつもりだ。それから、一切を終えて帰るマヤをうまく捕まえて思い切っ て全てを打ち明ければいい。恐れずに、迷わずに。
 何度か歩いた春の墓への道。真澄は敷き詰められた玉石を踏みしめながら歩 いた。まだ新しいとさえ言えるその墓は、真澄が大都の名で買ったものだ。菩提 寺を持たなかった北島家。どういう経緯かは知らないが、春は天涯孤独でマヤを 育てていた。マヤの存在を、どんな理由があるのかは知らないが、春は誰にも知 らせることがなかったのだろう。マヤが高校生時代、あれだけテレビに映画にポス ターにCMに雑誌にと、あらゆるメディアに露出したにも関わらず、親類縁者を名 乗る者はただの一人も出てこなかったのだ。これは実に珍しいことと言えるだろ う。大抵は、急に売れ出したタレントなどには一度も会ったことのない親戚が懐か しがって会いに来たりするものなのだが。頼れる者の誰もいない二人だけの親 子。母が亡くなったショックでまともに話すこともできないマヤから、苦労の末にど うにか水城が事情を聞き出したところ、マヤとその母親は、墓は愚か先祖にさえ、 一度も参ったことがないと言う話だった。自分たちに墓があるのかも知らないと言 う。そこで真澄は至急に、あまり大きくなく、なるべく都心に近い寺で墓所の空き があるところを調べさせ、ようやくこの寺を見つけた。墓石も全て真澄の手配で用 意され、通夜、告別式他一切の法要も取り仕切った。マヤが大都の抱える女優 である限り、出来るだけのことはするつもりでいたのだ。それはマヤの所属会社 の社長としても不自然ではなく、春の死に責任を感じる真澄の贖罪の気持ちを表 す方法でもあったのだから。だが自分の下を嫌って飛び立つ彼女を引き止めるこ とはできなかった真澄はマヤの手を放し彼女を自由にしてしまった。繋がりを失っ てしまったために表立って弔うことさえできなくなった真澄だったが、それでも何度 かひっそりとここを訪れていた。忙しい身ゆえ、ゆっくりと手を合わせることはでき なかったが、時間の許す限り心を尽くして春には謝罪を繰り返してきた。そんなこ とが何になる。所詮自分を慰めるための欺瞞に過ぎない。何度もそう思った。だ が、気がつけばここへと向かう気持ちを止めることも出来なかったのだ。今日もま た、同じ花束を持ってその前に立つ自分がいる。だが、今日は今までの自分とは 確かに違うのだ。本当の自分に気がついた。もう、現実から目を逸らさないと決め た。そのために、いくつかのしがらみは自分の手で断ち切った。立ちはだかる壁 だと思っていた春の死が、それを乗り越える決意をした今では、自分とマヤとの かけがえのない絆のようにさえ感じられるのだ。それぞれの力で、共に乗り越え た大きな壁。あなたの死を、きっと無駄にはしない。
 ふと手にした花を見やる。それはいつもと同じ紫のバラの花束。だがいつもと違 うのは、それを買った店だった。あの試演の日。一旦はマヤとの繋がりが絶たれ たと絶望したあの日。そして再びその繋がりがまた結ばれた喜びに震えたあの 日。真澄が再び「紫のバラの人」としてマヤへ贈るために花を買った、あの花屋で 買ったものだった。あの花屋の一言が今、真澄をこの場所に立たせている。きっ かけを作ってくれたあの店員のいる花屋を、これからは贔屓にしようと思う真澄
だった。

 春の墓前に立つ真澄の背後で誰かが息を飲む音が聞こえた。いつの間に、
そんなに時間が経ったのだろう。少し予定が早まったが、いよいよ正念場が来た か。先ずは心を落ち着けろ。俺の一生がかかっているんだ。
 真澄は出来うる限りの冷静さで、ゆっくりと後ろを振り返った。そこに立つであろ うマヤに全てを告げるために。
 



<Fin>



硝子様コメント 

長くてホント、スミマセン・・・。こんなに長くするほどの内容でもないし。
 「涙」を書いた時、実はあちこち省略した部分がありました。マヤちゃんの視点で 書いてみたかったので、それならマヤちゃんの知らないことは読む人にも知らせ ない方がいいだろう、と。
 ただ一つだけ決めていたことは、速水さんが春さんの墓前に立つあのシーンで は、速水さんにはいわゆる「綺麗な体」になっていてもらおう、と言うことでした。
 そう、彼は婚約も破棄して春さんの墓前でマヤと向き合ったのです。そのことを 書かずにただ頭の中だけにしまっておりまして、そのことをチラッとくるみんさんに メールで申し上げましたら「書いて」と言われまして・・・。で、図々しくも書かせて いただいたわけです。

 それにしても、なんだか不安だらけのお話です。コレって本当にくるみんさんの 仰るとおり面白いのでしょうか・・・?いや、くるみんさんを信用しないワケではな いのですが、どうにも自信が持てなくて・・・。鷹宮との対決とか紫織さんに対する 気持ちとか、あちこち穴だらけのような気がするんです・・・。とは言え今の私には これで精一杯です・・・。勘弁して下さい。
 こんなに長くてダラダラした作品に最後までお付き合いくださる方はおいでで
しょうか?心配です・・・。ながくてどうにも穴だらけの、こんなお話に最後までお付 き合い下さいまして本当にありがとうございました。
 また、お忙しいにも関わらず快く受け取ってくださったくるみんさんにも言葉では 言い表せないほどの感謝をしております。本当にありがとうございました。
 また、お世話になると思いますが、どうかお見捨てなきよう、これからもお付き合 い下さいましね。


みなさんに、心よりの感謝を表したいのに「ありがとうございます」の言葉しか知ら ない自分がもどかしい硝子より




管理人コメント

硝子さん、長編の執筆お疲れ様でした。
そして速水さん編を読みたいと言う私の願いを叶えてくださって、本当にありがと うございます。

このお話を頂くきっかけとなったのは一通のメールでした。
硝子さんに前作、「涙〜Teerdrop〜」を頂いたお礼と感想をお送りしたのですが、 そのお返事には裏話として切々と速水さんの苦しい心情が綴られていたのです。

マヤが紅天女を射止めることができなかった衝撃、また、そのことにより沸き起
こった「女優」と「芸能社の社長」としての繋がりさえなくなるのではないかという
不安。
そして最大の切り札である「紫のバラの人」でさえ、マヤが一般人になった瞬間 から「ファン」という魔法の言葉が全く無効となり、永遠に絆が切られてしまうと
悟ったときの絶望感。
紫織との結婚もマヤと繋がっていられればこそ耐えられるのだと思い知った彼は 婚約破棄に向かって動くことを決心する・・・
そこに書かれた速水さんの苦悩の様は、とても興味深いものでした。

ですが、「涙」は飽くまでマヤ視点であり、残念なことにその話を読む限りでは
速水さんの葛藤を察することはできませんでした。
その旨を硝子さんにお話したところ「いいんですよ、それで。あくまでも裏の設定 ですから」とあまりにあっさりとしたお返事。
「よくなーーーーーーい!!」と心の中で絶叫しました、私。

このエピソードをお蔵入りにするのはあまりに惜しくて是非続編をとお願いし、め でたくこうして掲載させて頂けることとなりました。
・・・悪い相手に捕まったと思って諦めてくださいね、硝子さん(^_^)

>コレって本当にくるみんさんの仰るとおり面白いのでしょうか・・・?
何度説明をつけて「面白い」と言っても、硝子さんは額面どおりに受け取ってくれ ません(T▽T)
でも、これを読んだ皆さんにはお解かりですよね?
この小説がいかに魅力に溢れた、読み応えのある作品であるかを。

硝子さんにはいつもお世話になってばかりですが、これからもよろしくお願い致し ますv




続編に「White Day」があります。(PROJECT 合同企画「春の宴」掲載)