「今日は１日雨だったなぁ」窓の外を見ながら一人呟く。

紅天女の後継者となったマヤは、天気の移り変わりに気が付かないほど目まぐるしい日々を

送っている。

いつもはそんな彼女だが、今日だけは違った。

明日の天気が気になって仕方がない。

仕事から帰ってきて、家で真っ先にしたこと。

てるてる坊主を作ってみた。

小学校の頃、遠足の前の日に作った事がある。

何年ぶりだろうか？とふと考えて自分の子供っぽさに笑ってしまう。

材料を用意すると不器用な手つきで二つのてるてる坊主を一生懸命に作った。

一つずつ大きさを変えて。

どんな顔を描くかは作る前から決めていた。

一つめは彼の顔。

大きいほうに少しずつ描いていく。

癖毛の髪、切れ長の目、そして皮肉げな笑みを浮かべた唇。

出来上がった顔を見て、自分にしては上出来だと感心する。

これを見た彼は何と言うだろう？

「ひどいな。君にはいつも優しい顔を見せてるだろ」なんて言うのだろうか。

だけど・・・。

すぐにあたしのことを「チビちゃん」ってからかうんだから、これぐらいの悪戯はいいよね。

もう一つは自分の顔。

あたしって特徴ないなあ。

特別綺麗でもないしなあ。

先程より小さめのそれを持って考える。

でも、目は大きくてくりっとしてるって言われるかなと思いながら大きめの目を描いた。

口は笑ってる方がいいよね。

「君の笑顔が好きだ」って言ってくれるし・・・。

ふと彼が言った言葉と優しく見つめてくれる眼差しを思い出して、ひとり照れてしまった。

何とか出来上がった二つのてるてる坊主。

窓際にそっと並べてくくりつけた。

このてるてる坊主のように、いつまでも彼と寄り添っていられるといいな。

明日は、久しぶりの休日で彼とデートの約束をしている。

付き合いだして３ヶ月。

お互い忙しくてなかなか会えないけど・・・。

彼のことだからきっと、どこに行こうかとデートコースを立てているんだろうな。

いつも私のことを考えて、驚かせたり楽しませてくれる。

本当は二人一緒ならどこでもいいのに。

あなたと過ごす時間はとても幸せだから。

梅雨に入ってから晴れた日はあまりなくて・・・。

彼がプレゼントしてくれた真っ白なワンピースを着て出かけたいの。

あの人の喜ぶ顔が見たいから。

鏡の前でワンピースを合わせて、自分の姿を眺めてみる。

「とても似合っているよ」って言ってくれるかな。

彼の言葉を考えて、鏡の中のあたしは頬を染めて微笑んだ。

明日だけは晴れてほしいと二人のてるてる坊主に願いを込めて作ったから・・・。

きっと晴れるよね。

窓の外を見ながら、雨雲に覆われて見えない彼の大好きな星達にも願いを送った。

＜Fin＞

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瑠衣様コメント

私の拙い作品を最後まで読んでくださりありがとうございました。

くるみんさんがＴＯＰのイラストを変えられてＢＢＳで感想を書いた時に、くるみんさんのレスで

「妄想の輪が広がっていく」という言葉を見て私の中で浮かんだのを書いたものです。

イラストを見て文章を書いたのは初めてなので、お見苦しい点などがございましたらさっと流し

読みしていただけると助かります。

イラストをご覧になられた方、それぞれ浮かんでくる妄想は違いますので、いろいろな妄想の

中の一作としてお考えいただければと思います。

雨の憂鬱な日なのにマヤちゃんが幸せそうな顔をしているので、マヤちゃんの幸せな気分が

書けたらと思って久しぶりに勢いで書いてみました。

今の自分はこれで精一杯なので、これからも勉強して少しでもいい作品が書けるように頑張り

たいです。

くるみんさん

私の拙い作品を快く受け取っていただきありがとうございました。

未熟者の私にいつも手取り足取り教えてくださり感謝しています。

お世話になっている私からのささやかなプレゼントです。

くるみんさんの柔らかいイラストにとても癒されましたので。

これからもいろいろな面でお世話になると思いますが末永くよろしくお願いいたします。