お風呂で遊ぼv




「はああ、すっかり雪まみれになっちゃったね。耳がじんじんしてきちゃったよう」
「鼻の頭も赤くなってるぞ、ちびちゃん。ほらこれを着ていろ」 
「ありがと、速水さん。・・・ふ、ふ、くしゅんっ」
「このままだと本格的に風邪を引きそうだな。早いとこ帰って風呂にでも入るか」
「うん。帰ろう・・・って何だか速水さん、さっきよりずっと楽しそうなんですけど」
「気のせいだろ。さ、つまらないことを言ってないで早く車に乗りなさい」
「はあい(でも、やっぱりあやしいなあ・・・)」

―――真澄の部屋にて
「雪が溶けて、髪の毛びっしょりになっちゃった・・・速水さん、バスタオルちょうだい」
「それより先に風呂に入るといいだろう。もう入れてあるから」
「嘘・・・っ。いつのまに!」
「何だその眼は。君に風邪を引かせないように配慮するのが俺の役目だ。文句でもあるのか?」
「ふうん・・・まあいいかっ。速水さん、着替え貸して」
「ああ。好きなのを持っていくといい」
「それじゃ、お先にお風呂いただきますね」
ばたばた
「・・・お先に、ね。ふっ、そんなことを言う必要もないのにな」

―――バスルームにて
「・・・ぷはあ。生き返る〜泡ぶくぶく気持ちいい〜!あたしもやっぱりお風呂のあるところに引っ越そ うかなあ。確かこれ、ジャグジーバスとかいうんだっけ?一体いくらするんだろ」
「随分楽しそうだな、ちびちゃん。俺も混ぜてもらえないか」
「・・・速水さん!(やっぱり来ちゃったよ・・・来ると思ったけど)」
「何だ、嫌なのか?君は長風呂だからな。まともに待っていたら俺の方が風邪を引いてしまう。
君は俺が風邪を引いてもいいと言うのか」
「誰もそんなこと言ってませんけど・・・(一緒に入りたいなら素直に言えばいいのに・・・)」
「おい・・・どうして風呂の水が白く濁っているんだ」
「あ、これ入れたのvミルク入りのバスソルト!麗にもらったんだ。お肌がすべすべになるんだって」
「そんなことを今さらしなくても・・・ぶつぶつ」
「他にも日本酒が入った入浴剤やワイン風呂なんてのもあるんだって!すごいよねえ。今度試してみ ようかな?」
「酒・・・ワインか。そうだな、悪くないかもな・・・」
「速水さんもお肌が若返るかもよ。最近ちょっとほっぺたのところがたるんできたみたいだし」
「・・・君はどうしていつもこう一言多いんだ」
「んん・・・っ!速水さん苦しいよう。息ができない・・・っ」
「これに懲りたら君も少しはムード作りに協力するんだな。でなけりゃ今みたいな実力行使でいくから な」
「そんなのひどいっ。鬼っ!悪魔っ!ギラギラ大魔神っ!!」
「どこでそんな言葉を覚えたんだ・・・決めた。君にはムードよりもっと直接的に、体で伝えていくことに しよう」
「や、やだっ!そんな意地悪ばっかり言うんだったらもう出てって!速水さんのせいでお湯も少なく
なっちゃったし、ゆっくり体伸ばせなくなったじゃない」
「いいんだ。湯が少ない方が動きやすいし、これ以上寒くなるということもありえないから」
「ちょっ、ちょっと待って!ほ、本気?」
「これが冗談を言ってる顔に見えるか」
「だ、だめだめだめっ!あたし、明日も朝早いんだよ」
「知ってる。どうせ泊まる時間もないと言いたいんだろう。だったら今の方が都合いいじゃないか。
服を脱ぐ手間もない、後のことも簡単にすむ」
「・・・そーいうことをさらっと言っちゃわないで下さいっ!」
「本当のことだ。それに今日は君の言うとおりにしたんだ。最後は俺の言うとおりにしてもらおうか」
「ひゃあっ。い、いきなり積極的になるのやめてくださいっ!後ろ見えないんだから、びっくりするじゃ ないですか!?」
「だから面白いんじゃないか。ほら、ちびちゃん・・・いい加減にあきらめろ」
「ふう、はあ・・・やっぱりだめだよう。速水さん、頭がくらくらしてきちゃった。ねえ、も一回あたしと勝負 しませんか?そしたらもうイヤだって言いませんから」
「・・・またか。いいだろう。今のちびちゃんにこの俺が負けるはずがないからな。」
「じゃあ我慢比べしましょ。今からお湯の中に潜って先に顔を出した方が負け、いいですね」
「くす・・・っ。君はやっぱり可愛いな。でもまあ、手加減する気はないぞ。俺もかなり切迫した状況な んでね」
「だから、いちいち口に出さないでくださいっ。これだけくっついてるんだからわかりますって!」
「わかったわかった。じゃあ始めるぞ」
「いち・にい・の・さん!」

―――数十分後

「・・・速水さん、大丈夫ですか?ジュース飲みます?」
「いらん。それより、氷をもっとくれないか。まだ頭ががんがんする・・・」
「そんなに苦しかったのなら、もっと早く降参すればよかったのに」
「ああ、どうせ俺は馬鹿だったよ!君の馬鹿がうつったのかもしれないな!」
「何よそれっ!速水さんの方こそ大人気ないこと言わないで下さい!日頃のトレーニングで鍛えたあ たしの肺活量を甘く見たあなたの方が馬鹿じゃないの!」
「何だと!」
「何よ!」
「・・・うっ!だめだ。眼が回る・・・」
「は、速水さん、しっかりして!急に興奮するから・・・」
「ああ、君は気持ちがいいな。ちょうどいい温度だ。冷たくて柔らかい・・・」
「・・・もうっ、こんな時に・・・速水さんが熱すぎるのよ」
「それは君が風呂から出て、ろくに髪も拭かないまま俺の介抱をしてくれたからだ。そうだろう?」
「うん・・・」
「だったらこれで仲直りだ。君は俺を冷やして、俺は君を暖める。お互い様というわけだ。どうかな?」
「・・・ずるい、こんなの不可抗力。イヤだなんて言えない。速水さんをこのままほっとけるわけないじゃ ない」
「よく知ってるな、そんな難しい言葉」
「馬鹿にしないで!速水さんがよく使う言葉じゃない。‘これは不可抗力だ’っていつもあたしに・・・
その・・・ああもう笑わないでったら!」
「くっくっ・・・。違いないな。まさしくこれも不可抗力だ。ちびちゃん、今夜は俺のベッドで眠ってもらおう か」
「・・・もうっ。本っ当に仕方のないひと・・・でも今日は安静にしてなくちゃだめですからね」
「―――・・・ああ、わかった。なるべく我慢してみるよ」
「絶っ対!我慢して下さい!!」

――― 痴話げんかを交えつつも、Xmasの夜はこうして甘く更けていくのだった・・・。




<Fin>




yuri様コメント

ね、だから言ったでしょう?
くだらないって・・・(T_T)もうこれ以上は何も言えません・・・。
どうでもいいことですが、不可抗力は私もよく使う屁理屈だったりします。
ますますくだらない・・・(――;)
少しでも楽しんでいただけると幸いでございます〜<(_ _)>




管理人コメント

「掌」の後にお風呂エピソードがあると知って、おねだりして書いてもらっちゃいましたぁ。
yuriさん、ありがとですっ(≧▽≦)

対等に繰り出されるマヤと真澄の掛け合い漫才が楽しくて、楽しくて!!
「ギラギラ大魔神」はもう、yuriさんの書かれる速水さんの代名詞ですねっv
(・・イヤな呼び名だよなぁ)
このあだ名を使っていただいてありがとうございます♪♪

速水さんが隠すことなく素でギラギラしてて、ホントに可笑しかったです。
そして「切迫」状態で受けたマヤとの賭け。
負けるにはあまりにツライ!
そして読者も大いに期待している!!
ここは何としても負けるな、社長っっ!!!
・・・と念じていたけど、やっぱり負けちゃいましたねぇ(T▽T)
敗因は毎日のデスクワークでしょうか。
でもマヤの方がうわて、と見せかけてラストは速水さんの計算勝ちかな。
彼が我慢できない方に3千点っ!!

「不可抗力」、私は言葉に出して使ったことないです。
今度言ってみようかな♪
「どうしてそんなに煩悩ばかりの毎日なんだ!?」
「不可抗力ですv」
おお、理由になっている!!!!(←・・そうか?)

楽しいお話をありがとうございましたvv